世界自然遺産 白神山地

世界自然遺産 白神山地 World Natural Heritage Site Shirakami Sanchi

世界自然遺産 白神山地って?

世界自然遺産 白神山地って?

白神山地は世界最大級のブナの原生林と、そのブナ林が支えてきた貴重な動植物が分布する極めて価値の高い生態系を有する地域ということが認められ、1993年に屋久島と並び日本初の世界自然遺産(自然遺産)に登録されました。

世界自然遺産である白神山地は北緯40度20分から45分の間、青森県南西部から秋田県北西部にまたがる面積約130,000ヘクタールの山地の総称です。
青森県側は約4分の3を占める12,627ヘクタール、秋田県側は4,344ヘクタールとなっています。

白神山地には、ほとんど人為的な影響を受けていない1,000メートル級の山々と、落差のある美しい滝が存在し、豊かな森には特別天然記念物のニホンカモシカや天然記念物のクマゲラ、イヌワシなど動植物が自然の生態系を残して数多く生息しています。

世界自然遺産登録地域

世界自然遺産の登録地域は、核心地域(コアゾーン)と緩衝地域(バッファゾーン)に分けられています。

白神山地の世界自然遺産登録区域は、森林生態系保護を目的として管理・保護されており、核心地域(Core Zone)は白神の自然を守っていくため入山が制限されています(秋田県側は入山が禁止されています)。

緩衝地域(Buffer Zones)は核心地域に外部から人為的影響を及ばさないように指定されている地域です。気軽に世界自然遺産にふれることが出来ます。

2003年7月1日より、核心地域への入山が届出制になりました。

世界自然遺産登録地域

ブナの原生林

ブナは北海道北南西部から九州の大隅半島まで生息する落葉樹で、200年~250年生きるといわれています。

日本に分布しているのはイヌブナとブナの2種類ありますが、冬の寒さが厳しい白神山地に生息しているのはブナです。

ブナは春に新芽が伸び、葉がつくとともに花が咲きます。雌花は風により運ばれてきた雄花の花粉によって受粉します。
周辺に同じ種類のブナの木が数多く生息していなければ受粉が難しいのですが、白神山地には縄文時代から手付かずのブナの原生林が広がっています。 白神山地は子孫を残していくには好条件の場所なのです。

ブナの原生林

貴重なブナの実

昔からブナの実は「ブナの実一升、金一升」といわれるほど大事にされてきました。ブナは成長が遅いため、地面に根を下ろしてから約50年から60年かけて初めて実をつけます。そしてその後は5年に一度しか実をつけません。

秋になると、このブナの実は“森の恵み”となり、白神山地に生きる動物たちの貴重な食料となります。動物たちに食べられずに地上に落ちたブナの実は、厳しい冬を乗り越え遅い白神の雪解けを待ちます。そして春には新しい命を誕生させていくのです。

貴重なブナの実

白神山地の動物たち

白神山地には、たくさんの動物たちがすんでいます。その仲間たちの一部をご紹介します。

クマゲラ

1965年5月12日に天然記念物に指定された大型のキツツキ科の鳥(キツツキ科でもっともクマゲラに近いキタタキは絶滅)で、漢字では熊啄木鳥と書きます。

北海道と東北の一部に住む日本最大のキツツキで、体長は約45cmほど。全身が黒く、オスは頭頂部、メスは後頭部のみが赤くなっています。約6cm ほどの硬いくちばしを使い、ブナの木に楕円形の穴を造り、そこで生活をします。白神山地 のクマゲラはエサ場、ねぐら等生活のすべてをブナ林とともに共栄しています。

クマゲラは4月から6月頃にかけて繁殖しますが、生息数が極端に少なく、更に警戒心が強いためほとんど見かける事はできません。白神山地では1983年に初めて営巣が確認され、今では白神山地のシンボル的存在となっています。

ニホンカモシカ

日本のみに生息し、特にブナなど落葉紅葉樹が広く分布するところで生活してます。
名前からするとシカの仲間のようですが、ウシ科のヤギに近く、普段は単独で生活しています。これは単独で生活する方が天敵から身を守りやすいためだ、といわれています。 ただ、例外としてペアの場合子供を連れて生活している時もあります。

ニホンカモシカは昔から狩猟の対象で、生息数も少なくなり心配されていましたが、1955年に国の特別天然記念物に指定され、現在では保護されています。

ニホンツキノワグマ

クマは大型の哺乳類で、日本ではエゾヒグマとニホンツキノワグマが生息しています。白神山地に生息しているのはニホンツキノワグマです。 胸に三日月形の模様があるのが最大の特徴で、森林の伐採等により全国的に生息数は減少していますが、白神山地では森の一番大きい住民として生活しています。
秋のブナの実が好物といわれいて、冬は5ヶ月から6ヶ月ほど何も食べずに穴ごもり(冬眠)をします。

ニホンザル

人に近い哺乳類で、日本だけに生息し、普段は数十頭の群れを作って生活しています。

白神山地に生息するサルはオナガザル科のサルで、下北半島の北限のサル(天然記念物)と学術的に同様といわれています。
白神山地のサルは、一般のサルとくらべて体・体重・体毛が 密生しています。これは、白神の厳しい冬に適応するためと言われています。吹雪が何日も続く間、身を寄せあい、遅い春を待つのです。

イワナ・ヤマメ・鮎

森のダムと言われるブナ林から湧き出す水は、生き物に潤いを与えるだけではなく清らかな清流となり、縄文の昔からイワナ・ヤマメ・鮎など数多くの魚たちに変わる事のない水を与えてきました。

中でも、白神山地を源流としている赤石川に棲息するアユは体の一部が黄金色の「金アユ」といわれ、全国でも数カ所にしか棲息していないといわれています。

白神山地の動物たち 白神山地の動物たち 白神山地の動物たち